マクドネルダグラス DC−10
MCDONNELL DOUGLAS DC-10
公開:2004年11月16日
改訂:****年**月**日


MCDONNELL DOUGLAS DC-10-40(JA8542) 日本航空/羽田空港(京浜島海浜公園)


 アメリカの大手航空会社が出した中距離路線向け、最大330席クラスという要求仕様に基づき開発され、ロッキードL−1011トライスター型機と共に一時代を築いた三発ワイドボディ旅客機が本機、マクドネルダグラスDC−10型機です。

■開発の歴史

 機はアメリカン航空が1966年3月に出した座席数250席級、航続距離3400km程度の国内線の大量輸送を目的とした大型旅客機、いわゆるエアバスの要求仕様に基づき計画がスタート、当初は双発型を想定していましたが、その後他の大手航空会社がアメリカ大陸を横断可能な航続力を要求、さらに一発停止時の推力低下の問題や洋上運航を考慮、結果、座席数最大330席、航続距離は大陸横断が可能な4500km程度とした三発機という案に修正された上で1967年11月からダグラス社において本格的な開発に着手しました。なおこの時、ロッキード社もほぼ同じ仕様に基づいて三発機の開発を開始、それが本機最大のライバルとなるL−1011トライスター型機です。

 開発はトライスターの方が先に開始されましたがエンジンとして選択した新機軸を導入し軽量化・低騒音化を図った<RB211>の開発を担当しているロールス・ロイス社が倒産し開発・供給が大幅に遅れた影響でもたついているのを後目に1970年8月にはゼネラル・エレクトリック社製エンジン<CF6>を搭載した初号機が初飛行に成功、1年足らずの試験飛行を経て翌年7月には最初の機体が発注元のアメリカン航空で路線就航を果たしました。

■特徴

 機最大の特徴は垂直尾翼を貫通する形で第二エンジンを装着している点です。
 この方式は流入空気が確実に均一化されコンプレッサーストールを起こしにくく、エンジン効率が高められる他、逆噴射装置や付属する機器配置も主翼のエンジンと互換性を持たせられる利点がある一方で、第二エンジンを搭載するため胴体フレームと一体化させた鋳造部品を垂直尾翼内に通してエンジンを支持するという複雑な構造にならざるえない点や方向舵の面積が制限される点、垂直尾翼が高くなるためローリング(横揺れ)が生じやすくなる点、さらにエンジンの換装が難しい点などの欠点があります。

 するトライスターは空気流の問題には目を瞑って胴体尾端に第二エンジンを配置し胴体上面の取り入れ口からS字ダクトを通して空気を導く形として垂直尾翼は通常型としており、完成した機体はDC−10型機が堅実な機体造りをするダグラス社らしい男性的なフォルムに仕上がったのに対しトライスターはロッキード社らしい優雅な女性的なフォルムに仕上がり、同じ仕様でもメーカーによって全く異なったフォルムを醸し出すという好例と言えるでしょう。

■生産と派生型

 うしてデビューを飾った本機は、最初のモデル10型をベースにエンジンの強化や貨客転換型など改良型を生みつつ受注を伸ばしました。具体的には離陸性能を向上させた高温・高地仕様の15型、国際線運航するため航続距離延伸型を望む航空会社の要求に応える形で主翼中央部に燃料タンクを増設した上で総重量の増加により中央部にセンターギアを追加、さらに空力が劣化することが判明したため主翼幅を3.05m増やすなどの改良を加えた長距離モデルである30型、ボーイング747型機が搭載しているプラット&ホイットニー社製<JT9D>エンジンを搭載するユーザー向けに30型のエンジンを換装した40型等が主なタイプで最終的に本機の後継機として航続距離をさらに伸ばすと同時にハイテク技術を盛り込んだMD−11型機が登場する前年の1989年までに旅客機型だけで386機、軍用型のKC−10型機を加えると446機の量産を記録、販売不振から250機で1982年で生産を終えたトライスターを大きく上回りました。

■日本のDC−10

 日本では日本航空がDC−8型機の後継機として1973年暮れに本機の<JT9D>搭載モデルである40型の導入を決定、1976年4月よりまず航続距離を短く抑えて最大離陸重量を引き下げ、センターギアを装着しない国内線仕様機が登場、翌年4月には国際線仕様機も投入され1983年までに20機が導入されました。しかし近年、経年化が進んだこと、航続距離が長く、長時間の洋上飛行が可能なハイテク双発機の登場で三発機の魅力が失われてきたことから2005年度までに全機を退役させるが決定、徐々に姿を消していっていますが中には貨物機に改造され日本へ里帰りしている機体もあります。

 の他、日本エアシステムが30型を国際線専用機材として2機を発注して国際線を中心に運航、その後、グループ会社のハーレクィンエアに転籍し活躍していましたが2000年春にノースウエスト航空に売却、現在は同社の機体として再び日本に飛来してます。

マクドネルダグラス DC−10 諸元
(1)日本航空 DC−10−40(D/国内線仕様)
(2)日本航空 DC−10−40(I/国際線仕様)
項目 データ
全長:55.50m
全幅:50.41m
全高:17.70m
最大離陸重量:(1)201.0t
(2)251.7t
エンジン:プラット&ホイットニー<JT9D−59A>
推力24,000kg×3基
巡航速度:884km
航続距離:(1)4630km
(2)8330km
乗員/乗客:(1)3人/318人
(2)3人/268人(最大)
展示室
当館で展示しておりますDC−10型機についてご案内しております。

マクドネルダグラスDC−10−40(I)
日本航空
(JA8545)

マクドネルダグラスDC−10−40(I)
日本航空
(JA8541)
新塗装

マクドネルダグラスDC−10−40(D)
日本航空
(JA8548)
2003.7退役

マクドネルダグラスDC−10−30
日本エアシステム
(JA8551)
2000年退役

マクドネルダグラスDC−10−40(I)
JALウェイズ
(JA8547)
2003.6退役

マクドネルダグラスDC−10−40(I)
JALウェイズ
(JA8544)
2004.3退役


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