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BOEING 737-700
公開:2008年6月24日
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BOEING 737-781(JA02AN) 全日空/伊丹空港(スカイランドHARADA)
エアバスA320シリーズに代表されるフライバイワイヤをはじめ最新技術を取り入れたライバル機に対抗すべく、装備の近代化や空力性能の見直しなど抜本的な性能向上を図り、後に737NG(Next Generation)シリーズと総称される新たな737のトップバッターとなったのが本機、ボーイング737−700です。
■開発の歴史 |
低燃費、低騒音の高バイパス比エンジンの導入や胴体、機体設計の見直し、さらに顧客の要望に応じて胴体の長さを変えるファミリー化の思想をいち早く取り入れ爆発的な売れ行きを示した737−300/400/500シリーズですが、エアバスA320シリーズ(1987年初飛行)に代表される最新のデジタル技術を持ち込んだライバル機が登場すると装備の古さや性能の陳腐化が目立つようになり、その売れ行きにも陰りが見え始めめました。
そこでボーイング社は1991年、737シリーズの近代化計画「737X」を発表、30社を越える顧客と計画を煮詰めていき1993年にはサウスウエスト航空が300型の後継型となる700型の発注を決め、開発が本格化し、最初の機体は1996年12月に完成、翌年2月に初飛行を果たし各種試験に供された上で最初の発注先であるサウスウエスト航空へ引き渡されました。
■特徴 |
737NGシリーズの開発にあたってはまず空力性能の見直しが図られました。具体的には主翼翼形の変更、主翼の拡大を片側2.72m延長、これにより翼面積は25%拡大し、翼内の燃料タンクも30%大きくなって航続力の向上につながっています。また主翼の大型化に伴い、水平安定板、垂直尾翼についても拡大が図られています。この他、高揚力装置は727シリーズからの伝統だったトリプル・スロッテッドフラップから構造が簡単なダブル・スロッテッドフラップへと変更、これは重量軽減と整備性の向上が目的で風洞試験の結果、フラップとしての性能は変わらず、騒音が減少し空力的にも洗練されるとの試験結果に基づいての採用です。これらの改善で巡航速度の向上(既存がマッハ0.75だったのに対し、マッハ0.78〜0.80)が図られ、また最大巡航高度の上限も緩和され航続距離の延伸に効果を発揮しています。
なおこのシリーズで最近ウィングレットを付けた機体が増えてきていますが、ウィングレットは必ずしも必須ではなくあくまでオプションでの仕様です。
またコクピットもこれまでの300/400/500シリーズではCRTディスプレイはあくまでオプションで機械式計器が並ぶ伝統的なスタイルでしたが、このシリーズから本格的なグラスコクピット化が図られ、6基のカラー液晶が設置されています。ただこれまでの737の操縦資格でも扱えるように画面表示を今までのアナログ計器と同じシンボルに変更することも可能となっており、これで操縦資格の共通化を図っています。
ちなみにエアバスがA320シリーズでいち早く導入し、ボーイングも777シリーズから盛り込んだフライ・バイ・ワイヤはこの機体には採用されませんでした。これはこのクラスを使う航空会社は必ずしも高度な整備技術を持たないので使いこなせない、価格が高くなる、重量の軽減に効果が薄いなどの理由があげられています。
この他、エンジンも<CFM56−7>を採用、これはCFM56の最新型で最新の設計技術と効率的なエンジン制御システムの導入などで既存のシリーズよりメーカーの公表値で8%燃費が向上してるとされます。
■生産と派生型 |
700型は標準型の最大離陸重量で60.3tですが、オプションの仕様で最大69.4tまで引き上げることが可能でその場合の航続距離は5930kmに達するとされています。
さらに全日空がローンチカスタマーとなって現在航続距離延伸型の700ER型の開発にも着手、これは主翼や着陸装置をより大型の800型と同じものとして機体構造の最大9つの補助燃料タンクを搭載、ブレンディッド・ウィングレットを装着することで、航続距離が10140kmまで拡大するという一昔前のジャンボと同じ航続距離を持つこととなります。この機体は既に初号機は最初の発注先である全日空に引き渡されており、比較的需要の小さな中・長距離路線向けの機材として運航されています。
この他、これまでのシリーズと同様、ファミリー化が図られ、一番小さい600型から800型、900型の4つのグループが生産されていますがこれらは別項にて扱います。
■日本の737(4) |
日本では全日空が現在運航しているA320型機やボーイング737−500型機といった小型機の機材更新と機種統合による快適性、収益性の向上を目的に後継機として本機の導入を決定、2003年8月に一気に50機を発注して世間を驚かせました。最初の機体は2005年11月に受領、この最初の機体と2号機には特別に金色に塗装した特別塗装機で「ゴールドジェット」の愛称で運航されており、空港でも注目の的になっています。3号機以降は全日空のトリトンブルーを纏った通常塗装で納入されています。仕様は国内線で飛行する場合はオールエコノミーで136席、国際線で運航する場合は一部のシートを3列のうち真ん中の2列目をテーブルとしてゆったり使用できることを売りにしたプレミアムエコノミーとして使用しており、やや少ない118席で運航しています。
また2005年12月には既に発注したうちの2機を700ER型に発注を変更、全日空はこのモデル最初の発注元(ローンチカスタマー)となり、最初の機体は2007年3月に納入、その仕様はビジネスクラス24席、エコノミークラス24席というちょっとしたビジネスジェット並の仕様であり、この機体は「ANA ビジネスジェット」としてこれも特別塗装機となっており、現在は成田〜ムンバイ線に投入されています。
なお同社ではその後、方針転換が行われ700型シリーズの導入はひとまず18機で終了となり、19機目以降はより大型の800型として導入されることとなりました。
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