BOEING 737-400
公開:2005年7月9日
改訂:2009年5月16日 |
BOEING 737-4Q3(JA8526) 日本トランスオーシャン航空/那覇空港(瀬長島)
エンジンを<CFM56>に換装して機体を全体的に近代化した737−300型が好評を博したことからそのファミリー化が企画され胴体を3m以上延長した双発ジェット旅客機が本機、ボーイング737−400です。
■開発の歴史 |
737型機の初期型である100型及び200型(1967年初飛行)は短距離路線向けのジェット旅客機としてベストセラーとなりましたが1970年代後半に入るとさすがに古さが目立つようになってきました。そこに競合する航空機メーカーな同規模の新型機、具体的にはマクドネルダグラス社がDC−9型機の拡大改良型であるスーパー80計画(後にMD−80と改称)、フォッカー社がF28フェローシップ型機の拡大改良型であるF29計画やスーパーF28計画(後に計画中止)といった既存の機体の計画を発表したのに続きエアバス社はまったく新設計となるSA1計画(後のA320型機)を発表、これらに対抗できる後継機の検討に本腰を入れる必要に迫られました。
当初、ボーイング社では707や727、737といった現行モデルをカバーする発展改良型7N7計画で対抗することを考えていましたが検討を進めていく中で座席数200席級の中型機として開発される方向となり、737型機の後継としては大きすぎることとなったことから方針を転換、現行の737−200型機をベースに増え続ける航空需要を見越して胴体をストレッチして大型化を図ると同時にエンジンをより経済性の高いものに換装した737−300計画が立案され、1981年3月正式開発に着手、1984年2月に初飛行を果たし、翌年11月に引き渡されました。
こうして登場した300型は低燃費・低騒音を実現したエンジンを搭載し、さらにシステムを近代化して高い経済性を誇り高い評価を得て受注を伸ばしましたが、それを基に胴体の長さに変えて様々なニーズに対応するファミリー化の構想を打ち出し、その第一弾として1986年6月に胴体を延長して最大180席級の機体とした400型の開発を発表、1988年2月に初飛行に成功した機体は同年9月にピートモンド航空へ引き渡され同年末に路線就航を果たしました。
■特徴 |
▲ボーイング737−400の主な特徴 |
アビオニクス面の近代化としては搭載電子機器が一新され飛行管理システムは専用のコンピューターを搭載、航法装置にはレーザージャイロによる慣性基準装置が搭載されていますが一方で価格の高騰を招き既存の737ユーザーが本機の導入を阻害と判断される高価なデジタル計器の導入は見送られ、既存のアナログ計器とされました。但し後期に導入された機体はCRTが導入されていますがこれも基本的にはアナログ計器の掲示をCRTに表示しているだけで767型機から導入されたグラス・コクピットとは違います。
■生産と派生型 |
400型では標準型の他、床下貨物室にロジャーソン・タンクと呼ばれる増槽を追加し燃料搭載量を増加させ、さらに胴体や主翼、降着装置を強化して最大離陸重量を増やし、航続距離を伸ばした航続距離延長型等がありますが基本的には同じ形式と扱われており1988年の生産開始から484機を生産しましたが、後継となる737NGシリーズの生産に伴い2000年に生産終了となりました。
■日本の737−400 |
日本では日本トランスオーシャン航空が当時の主力機材、ボーイング737−200型機にかわる次期主力機材として同じ737ということで運航乗務員、整備士の移行が容易であることが決め手となって1989年11月に本機を選定、確定5機とオプション3機の発注を決定、最初の機体は1994年6月に受領、1999年までに新造機8機を導入しました。さらに同社では路線の拡充を図る中で機材の増備を検討しますが既に400型の生産終了が決まっており、新造機の導入ができないため、2002年までに追加導入した7機についてはドイツのハパクロイド航空やベルギーのサベナ航空で運航していた中古の機体を導入、この15機体制で那覇発着の日本各地を結ぶ主力機材として活躍しています。
一方、日本航空も国内線への本格参入にあわせて導入した767−300型機では供給過剰となるローカル線向け機材として本機を選定、日本トランスオーシャン航空との共同運航に備えて同一仕様にあわせて1995年から8機を導入、フラワージェットと名付けられそれぞれに花の愛称が付けられていましたが、ローカル線の収支改善へ1997年4月JALエクスプレスが設立され運航路線・機材は全て移籍することとなり移籍にあわせて同社塗装へと変更されることとなり最後の機体は導入当初からJALエクスプレス塗装で就航したため8機全てが揃うことはありませんでした。現在は基本的に8機全てJALエクスプレスが運航を担っています。
日本航空グループ2社で23機を運航する400型ですが一部の機体は機齢が20年を越す機体も出てきており、737−800型機の導入が進む中で2009年度、2機の退役が発表されており今後も順次退役となる機体が出てくるものと予想されています。
さらにスカイマーク、北海道国際航空(エアドゥ)に続く第三の新規参入組であるスカイネットアジア航空は先行2社が767型機で高収益が見込める国内幹線に投入したのに対し、同社は運航経費を低く抑えることが可能な737−400型機の導入を決定、最初の2機は2002年に導入し羽田〜宮崎線に投入、翌年には羽田〜熊本線開設に合わせてさらに2機を導入しますが納入の遅れで運航開始が遅れ、さらに運航開始後もトラブルが続発、経営を大きく圧迫することとなりました。2004年6月に産業再生機構の支援が決定、全日空の全面支援の元で経営再建に乗り出し合わせて機材の増強が進められ現在までに10機を導入、ただ導入と平行して2003年に導入した2機を返却したために現在は8機体制で運航しています。
ちなみにスカイネットアジア航空が導入した機体の中には元々エアーニッポンが導入した機体が2機含まれています。
この2機はエアーニッポンが需要の比較的多いローカル線向けに2000〜01年にかけて導入した機体で、水色地の胴体前部に大きくイルカが描かれ、胴体後部から垂直尾翼にかけては小さなイルカや風船などが描かれた特別塗装が施され「アイランドドルフィン」の愛称で羽田〜八丈島線をはじめエアーニッポンの運航路線に投入されましたが、2005〜06年に全日空傘下で経営再建中の北海道国際航空にサブリースされ、それぞれ「あさひかわ」「世界自然遺産 知床」のタイトル入りで活躍しました。しかし今度は同社に同じく全日空からボーイング737−500型機がサブリースされるのに合わせて2008年、同じ全日空傘下の前述のスカイネットアジア航空にサブリース先が変更となり現在は同社で活躍しています。傘下とはいえ、日本国内で3社を渡り歩いた機体はなかなか珍しい存在となります。
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