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AIRBUS A320
公開:2006年2月5日
改訂:****年**月**日 |
AIRBUS A320-211(JA8383) 全日空/スカイランドHARADA(伊丹空港)
300席級のA300シリーズ及びそれをベースとしたA310シリーズで成功をおさめたエアバス社が1980年代後半以降の150席級の中・短距離旅客機市場を目指し、最新の技術を盛り込んだ全く新たな機体として開発された双発ナローボディのジェット旅客機が本機、エアバスA320型機です。
■開発の歴史 |
300席級の中距離路線向け機材A300型機を送り出したエアバス社では1980年代の航空需要について200席級の中距離路線向け機材や150席級の短距離路線向け機材の需要が伸びると予測、前者についてはA300型機をベースに胴体を短縮すると共に2人乗務に対応した200席級のA310型機を開発しました。
一方後者については1981年にまず2クラスで120席級と150席級となる「A320−100」「A320−200」(後の−100/−200とは異なる)の計画を発表しましたが、先行するボーイング社やマクドネルダグラス社がいずれもベースとなる機体を有していたためその派生型の開発で済むのに対し、エアバス社はベースとなる機体がなく、結果、一からの機体を開発が必要となることとなり莫大な開発費と高いリスクを伴う開発計画が予想されましたが、シェアの拡大には避けて通れないものという並々ならぬ意気込みを持つ同社は航空会社の意見を採り入れ2クラスの標準で150席、最大179席とした1機種のみに開発案を絞った上、1984年から本格的な開発に踏みきり、1987年2月、この意欲作が初飛行に成功しました。
■特徴 |
本機の特徴は、全く新規に開発された機体、ということを最大限に生かして市場の需要を多く取り入れると共に当時の最新技術を随所に盛り込んだことです。具体的には
(1)同級機として最も太い胴体
(2)主翼の新たな形状の導入
(3)新素材と加工技術の活用
(4)コンピューター制御による飛行操縦システム、いわゆるフライバイワイヤ化
(5)従来の操縦桿のかわりにサイドスティックを採用
胴体断面をナローボディの同級機の中で最も太い胴体として座席や通路幅を広く取ることを可能として快適性の向上を図ると共に床下の貨物室についても大型化が図られると共に同級機が基本的にバラ積みしかできないのに対し専用のLD−46コンテナを搭載可能としており、これらの取り組みでターンアラウンドの短縮につながるとされています。
主翼は経済性の向上を図るべく高アスペクト比(9.4)の主翼形状を採用、翼端にはウィングチップと呼ばれる小さな板を取り付けることで翼端に発生する抵抗の減少を図っています。この他、前縁、後縁には高揚力装置が備えられ、それらを構成する材料には積極的に複合材料が取り入れられこれは軽量化とそれに伴う燃費の改善に貢献しています。
そして本機が他の同級機と大きく変えたのが操縦システムで、操縦については今までの操縦桿からワイヤやロッドなど機構を通じて油圧機構を操作するシステムだったのに対し本機ではパイロットから与えられた操縦についての動作をコンピューターを介して電気信号で各油圧機構に伝えるフライバイワイヤ(FBW)方式を採用しました。
この方式はもともと軍用機の致命傷となる主操縦系統への被弾面積を小さくするという目的から研究が開始されたものですが、電子技術の発達で操縦装置への入力に対する正確なレスポンスができるようになった上に高度な飛行制御の自動化に有効で、なおかつ複雑なケーブルやロッドの機構をなくすことによる構造の簡素化、重量の軽減が可能という利点があります。さらにパイロットが無理な操縦をしてもすぐに安全な範囲へ戻すよう保護機構も設けられています。
コクピットはカラーCRT6基で構成、アナログ計器はわずか12個まで削減した完全なグラスコクピットを採用、そして操縦は従来のパイロットの前にある操縦桿を使わずに横に配されたサイドスティック行われるようになっています。これによりパイロットはCRTに表示される内容を操縦桿などに邪魔されず確認可能できる配置を実現しています。
■生産と派生型 |
本機は当初、最大離陸重量66tの100型と主翼中央部に燃料タンクを増設した最大離陸重量72tの200型の2タイプが用意されましたが、ほとんどの航空会社が200型を選択したため100型についてはわずか21機で生産終了となり、現在は200型のみとなっている他、本機をベースに胴体を主翼の前後に6.94m延長して座席数を標準185席、最大200席まで設定可能なのA321型機や逆に主翼の前後に3.73m短縮して座席数を標準125席としたA319型機やさらにそれを短胴化して標準座席数が105席としたA318型機が開発されますがこれらは別項で扱います。
機体を支えるエンジンはいずれも推力12〜15t級のエンジンでボーイング737型機などで採用されているCFMインターナショナル製の<CFM56>と新たに開発された低燃費エンジンであるIAE社製の<V2500>から選択できます。ちなみに同級機でエンジンが選択可能なのはこのA320シリーズのみです。
A320型機は現在までに1400機以上の量産を記録、A320をベースとしたA318、A319、A321を含めるとその数は2500機に達する大ベストセラーとなり現在も生産が続けられています。
■日本のA320 |
日本では全日空が1986年12月、ボーイング737−200型機の後継機としてボーイング737−400型機やマクドネルダグラスMD−88型機などの候補を破って採用が決定、200型を確定13機とオプション7機の計20機を発注、最初の機体は1991年2月に到着、オールモノクラス166席の仕様で翌3月から東京〜山形線に投入されました。
その後、エアーニッポンとの共通事業機となった本機にはANA塗装機の他、ANK塗装機も登場、路線の拡充にあわせて2003年までの12年間に大量28機が導入されました。
しかし全日空グループとして中型機はボーイング787シリーズ、小型機についてはボーイング737NGシリーズに機種を集約する方針が示された結果、2005年度から本機の売却が計画されています。
一方で新北九州空港開港にあわせて東京〜北九州間を結ぶ新興航空会社スターフライヤーは使用機として新造の本機3機の発注を決定、モノクラス144席というかなり余裕のある座席配置が売りで待望の1号機は2005年12月に到着、残る2機も2006年3月までに到着予定となっています。
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